津村は『私』を好きなんじゃない。 『姉の生き写しである私』が好きなんだ。 おかしいな。 姉そのものを目指して生きてきたのに、姉と酷似している事実が憎くて堪らない。 どうして? 足がガクガクと震えて、まともに立って居られない。 呼吸が乱れて息が吸えない。 私は方向を変えて、違うトイレに向かって廊下を走り抜けた。 個室に入るなり鳴咽を漏らして泣いた。 涙と鼻水でぐちゃぐちゃに汚れた後の顔は、お姉ちゃんには似ていないかもね。