岸井先生が出て行ったのに佐武先生は出て行かないでじっと私のことを見つめていた。
「今日は少し歩いてみましょう。退院のためにも。」
「嫌。」
「そんなこと言わずにやりましょう。退院出来ませんよ?」
「別に私、退院しなくてもいいもん。」
退院したら学校に行かなくては行けない。
学校には星羅や元彼がいる。
もう会いたくない人。
それに…学校に行ったら確実にいじめられる。
今度またいじめられたら…私に味方はいない。
そんな惨めな目に遭うってわかっているのに、学校に行くわけがないでしょ。
絶対学校には行きたくない。
だから、このままずっと入院でもいいかもしれないって思う。
「そんなこと言わないで下さい。葵ちゃんが退院出来たら僕は嬉しいですよ?」
「わがままでうるさいやつがいなくなればそれは嬉しいだろうね。」
私は皮肉たっぷりこめて言ってやった。
佐武先生だってきっとそう思っているだろう。
「そんなこと思ってませんよ。患者さんが元気になってくれるのが嬉しいってことです。」
「まぁ、どうだか。」

