綾の前からいなくなったのに。 綾を一人にさせたのに。 槇さんは……嘘つきなのに。 それでも到底適わないことくらいはわかってた。 憎みたいのに、どうしても憎めない。 「……荷物今日持って帰るので。」 そう言って二階へ上がる。 正確には逃げた。 あれ以上槇さんと綾を見ていたくなかった。