槇は二階に荷物を置きに行き、すぐ下に降りてきた。 『綾』 あたしの名前を呼ぶ声は、以前より少し低く、でもよく通る槇の声。 ずっと待っていた大好きな声。 たくさん言いたかったことはあった。 たくさん聞きたかったことはあった。 頭の中で言葉がぐるぐる回る中 「…おかえり。」 気づけばそう呟いていた。