アドラーキャット



大人の余裕のあるお兄さんでも、不器用なとこはあるんだなぁ、なんて考えて。
ふっと、口元が緩んだ。


「タクシーも呼んでおいてもらったから。てか、何笑ってるの?」


「別に、なんでもないです。」


顔がニヤニヤと締まることを知らない私を見てお兄さんは呆れたように笑った。

嫌なこともあったけど、今日は良い日だった。

知らない人の、不器用な優しさが、すごく沁みた。


ブルーベリーパイをこんなにも美味しく感じたのは、初めてだ。