アドラーキャット




「祐介くん‼早急に料理教えてください!!」

「あ、今日は俺用事あるんで明日からでお願いします。」



ちくしょう。




不安な気持ちを残したまま家に帰れば、荻野目くんが当たり前のように買い物袋をパンパンに膨らませて待っていた。

「その袋、なに?」

「なにって、夕飯。」

そっか私の夕飯作ってくれるのか荻野目くんは。
なんていい彼氏なんだろう。

でも、このタイミングはちょっとマズイ。

「荻野目くん、今日は私が夕飯作るよ!!」

「………遠慮しとく。」

「そんなこと言わずにさぁその袋を私に‼」

「みずきどーしたの?」

「なんか今日料理したい気分なんだよね!!」

荻野目くんが不思議そうに私を見る。

「もしかしてみずきバレンタインにチョコ作るつもり?」

「なにそのめちゃくちゃ不安そうな顔‼」

「だってクッキーに紫キャベツ入れる人の料理なんて恐ろしいし。」


なかなか失礼なことを言う荻野目くん。
しかし言い返せないから悔しい。

私はバンっと机を叩き荻野目くんの目を見て宣言した。


「荻野目くん‼バレンタインまで待ってなさい‼料理の腕上げてやるから‼」


「みずき口調おかしくなってない?」


なにはともあれこれで私の料理上達への日々は始まった。