まさに雰囲気は御通夜状態。

コトコトと鍋が煮える音だけが部屋に響く。

なんだ、どうすればいいんだ私は。

とりあえず人参と白滝を荻野目くんによそってやり私も自分のに白身魚をよそった。
彼、猫っぽいくせに魚とか肉とかが嫌いで野菜や蒟蒻系が好きなのだ。
もういっそベジタリアンってことにすればいいんじゃないかと思うのだが。

一応鍋は食べてくれるのか荻野目くんは人参に箸をのばす。
しかし、その顔は心ここに在らず、といった様子だ。

そんな放心状態の荻野目くんが、さく、と人参を小さく箸で切りながら言葉を零した。



「みずきは、」

「はいっ!?」

「ゆうすけと、付き合ってるの?」

「つ、付き合ってはいないはずです。」

テンパってしまい敬語になった。
落ち着け、落ち着け、と心の中で唱える。

ふぅん、と荻野目はそう言ったきり、もごもごと白滝と人参を順番に口に含んでゆく。