「荻野目振られたんだってなー!どーよ独り身の気分は!!」


「……しね。」


突然家に入ってきた酔っ払いたち。
チッと思わず舌打ちすると「荻野目の舌打ちめっちゃレアだーっ!」とゲラゲラ笑い出す。

分かってる。
ここ数週間みずきからシカトに参ってる自分を励まそうと彼らなりに考えてくれたのだということは分かってる。

分かってるが、腹立つものは腹立つ。


「あーと、こいつら、えっと、励まそうとはしてんだよ、一応……」



なんとも歯切れ悪く祐介がそうフォローするが酔っ払いたちのゲラゲラ笑いが家に響き渡るだけでそのフォローも木っ端微塵な気がした。

和歌サークルでできた友達は基本皆いい奴だ。
酒が入った時はかなりめんどくさいが。


はぁ、と思わず荻野目はため息がでた。


というか和歌サークルは鬼門なんだ。
この間から和歌サークルのメンバーに振り回されてばっかりだ。
くそ、と荻野目はひとりごちる。


佳乃子さんは美人だがみずきとの関係悪化の原因は主に彼女だしサークルの友人は現在進行形でうるさいし。


「荻野目ー、キレーな優しい言葉でもかければ女はすぐ許すからさー」

「つかお前の顔で言われりゃ大抵の女は許すってー」

「僕が君の太陽になる!とかなーワハハ‼︎」

「ハハハ燃やすぞ。」



いつになくトゲトゲしい荻野目の様子に祐介は一人冷や汗を流す。


「お前ら今日くらい荻野目の話聞いてやれよー」

「別にいいよ祐介」


祐介が気を利かせてくれたのだが荻野目自身あまり誰かに話したいとは思わなかった。

だが、お調子者の玄葉という友人はニヤニヤ笑いながら話しに乗ってくる。
というか他の酔っ払いの面々もニヤニヤして見てくるのが果てしなくうざい。


「なんだよ荻野目言ってみろー俺けっこう経験豊富だからなー」

「玄葉に話すくらいなら黒豆に話す。」

「無生物に話しても返事はないぞー」



ゲラゲラと笑い出す玄葉。
酔っ払いにとってはもうなんでも面白いらしい。


もうなんだかどうでもよくなって荻野目もようやく腰を降ろす。

ふいっと当たり前のようにテーブルにビールやチューハイが並べられる。

まだ呑むのかこいつら。




「まー色々あるけどよー、なんとかなるって」


ヘラヘラとそう言われても全く同意は出来ないが酔っ払いに何を言っても無駄だと思い荻野目は黙ってビールを開けた。