「…合格したって?」
不意に聞こえた声と、俯いている視界の中で誰かの足が目に入る。
視線を上げると、両手をズボンのポケットに突っ込んでいる昴先輩があたしを見てた。
「あ、昴先輩…」
さっきの事を思い出した所為か、急に焦る自分が居る。
「真理子ちゃんが言ってたから。お前が探してたって、」
「そ、そうなんです」
そう言って、あたしは鞄の中からプリントを取り出す。
平然を偽ってるつもりでも何故か手が震える。それを昴先輩に差し出すと、スッと先輩の手に渡った。
「つか、クシャクシャじゃねーかよ」
「あー…」
だって、昴先輩が…
なんて言えるわけもなく。
「ま、お前にしちゃ頑張ったんじゃねーの」
「ですよね?50点もアップしたんだから」
「つか、あの点数は異常だろうが。これが普通」
そう言ってプリントを持ったまま少しずつ足を進めて行く先輩に着いて行く。
普通って、何?
先輩が言う普通って何なの?
分かんないよ。
「先輩には何も分かんないです…あたしの気持ちなんて」
「は?」
「いえ、なんでも…」
女の乙女心とかも。
好きな人から遠ざける様に言われた言葉とかも。
って言うか、今のあたしって。
さっき先輩と一緒に居た女と一緒じゃん。
なんでヒロくんの事で泣きそうになってんの?
って事は、さっき昴先輩と一緒に居た女と一緒って事。
…情けない。



