恋の訪れ


「な、何言ってるんですか?」

「だって何もする事ねーし」

「だから何でそうなるの?」

「暇だから」

「じゃ、帰ったら?サクヤ先輩と遊べばいいじゃん」

「サクヤねぇ…」


そう呟いた先輩は寝ころんでた身体を起し、ポケットからタバコを取り出す。


「ここで吸っていいわけ?」

「別にパパも吸ってるからいいけど」


とりあえず灰皿を持ってきてテーブルに置き、


「なんでサクヤ先輩ダメなの?」

「ダメっつーか疲れる」

「あー…」


なんとなく分かる所為か、思わず苦笑いが漏れる。


「ってなるとお前しかいねーだろ」


先輩は咥えたタバコに火を点けると、意地悪そうにまた口角を上げた。


「他にもいっぱい居るじゃん」

「誘ってまで遊びたくねーわ。むしろ俺、自分から誘わねーし」

「そーなの?」

「そうそう」

「ふーん…」


そう小さく呟いた時、ガチャっとリビングのドアが開くと、これまた派手な格好をしたお姉ちゃんが目に飛び込んできた。

黒のタイトなミニなワンピースに赤のジャケットを羽織り、アップにされてた髪は綺麗に念入りに巻かれていて、今から何処行くんですか状態だった。

そんなお姉ちゃんに昴先輩は顔を向け、「デートでもすんの?」とタバコを咥えたまま声を掛ける。