恋の訪れ


「なー、莉音のねーちゃん、どうにかしろよ」


キッチンに入り込んだあたしに昴先輩の呆れた声が飛んでくる。

そんな先輩の声を無視してると、


「おい莉音。聞こえてんのに無視すんなよ」


なんて今度は怒った口調で返してくる。


もう無視。

話してやんない。


だけど仕方ないからご飯は作ろうと思った。

よく考えてみれば昨日の夜から何も食べてない。

さすがに空腹が限界になり、あたしは簡単に作れるものを作った。

材料があるもので作った二種類のパスタ。


ほうれん草とツナのクリームパスタとナポリタン。

もう一人で全部食べてやるんだから。と思った時、


「お前って、ほんと上手いのな」

「でしょー?だから言ったでしょ。莉音はね、料理だけは出来るんだよ」


なんて言う二人はちゃっかりとダイニングテーブルの椅子に座ってた。


「食べていいよって言ってないし」


取り敢えずムカつくから嫌味っぽく言ってやる。

しかもお姉ちゃんが言った、″料理だけは″って意味も分かんないし。


「でも莉音こんなに食べたら太るでしょ?だから手伝ってあげる」

「俺も」

「別に手伝わなくていいから」


そう言ったのにも係わらず、もう既に二人は食べてて、


「なんでタツキには食わせて俺はダメなわけ?」


昴先輩は不満そうに口を開いた。