「可愛いからとか、心配だとかよくわかんない。だって、お姉ちゃんは夜の店で働いて帰るのだって凄く遅いんです。深夜とか、朝方とかだってあるのにパパもママも怒らないし」
「……」
「なのにあたしばかり厳しくして…。むしろ、夜の仕事だからお酒の匂いをプンプンさせて帰って来るのに、何も言わないんですよ?おかしくないですか?」
「……」
「あたしより、お姉ちゃんを怒るべきだと思うんです!」
つい勢いに乗ってしまった所為か、口がベラベラと動いてしまった。慌てて口を閉じたけど、もうそんなの遅い。
そんなあたしに、美咲さんと翔さんは苦笑い気味でお互い飲み物を口にする。
そして。
「ほ、ほら。莉音ちゃんはまだ高校生だから危ないでしょ?」
美咲さんの言った事に翔さんは何度か頷く。
ってか、まったくフォローになってないし。
「って言うか、言わせてもらいますけど。あたしの記憶上、高校生だったお姉ちゃんは帰ってこない日もありましたけど」
「え、えぇっ、」
なんて言っちゃったもんだから、更に美咲さんは戸惑ってしまった。
7個もお姉ちゃんと離れてるけど、その帰って来なかった記憶ぐらいある。
「うーん…莉音ちゃんは葵ちゃんにとっても諒也にとっても大切なんだよ?可愛いから心配になるのも当たり前だと思うけど。もし俺の娘だとしても、そうしてるよ?」
翔さんのフォローか何なのか分かんないけど、全然納得出来ない言葉。
その言葉に思わず眉を寄せて首を傾げてしまった。



