「優しいって言うか…」
そこまで口を開いたと同時に、「はい。莉音ちゃん食べてね」そう言って、美咲さんはテーブルに苺が沢山のったショートケーキと温かい紅茶を出してくれた。
「すみません、有り難うございます」
「いいの、いいの。一人で食べても美味しくないもんねー」
美咲さんは軽く首を捻って、微笑みながら翔さんの前に珈琲を置いた。
「あー…悪いな」
「食べないんですか?ケーキ…」
翔さんが呟いた後に視線を送ると、「あー、甘いもの苦手なのよ」美咲さんはそう言って、あたしの隣に腰を下ろす。
「で、何ー?諒ちゃん優しくないって?」
さっきの話を聞いていたのか、美咲さんは興味心身に聞いてくる。
諒ちゃんって、呼ぶこと自体、凄い仲良しなんじゃん。
そんな超がつくほど仲良しの息子だなんて、ありえないし。
「んー…優しいのは優しいんですけど、あたしにだけ厳しいんです」
「厳しいって?」
美咲さんがケーキにフォークを突き刺しながら首を傾げた。
「だって、お姉ちゃんは何時に帰ってこようが怒らないのに、あたしがちょっと遅くなっただけで怒るんです」
「それは莉音ちゃんが可愛いからだよ?」
「うん。そうそう莉音ちゃんの事、心配してるから」
美咲さんの後に連れらって翔さんが言うけど。
可愛いからとか、心配だとか意味わかんないし。



