家に帰って、クッキーを見つめた。
なのに食べるのが勿体なくて手が進まない。
それがヒロくんから貰ったものだと思うと尚更食べられない。
そしてその横に金平糖を置いてみた。
昴先輩がくれた金平糖…
いや、違う。
昴先輩なんかじゃない。
この目で確かめたものの、昴先輩だとは思えない。
だったら何であたしに隠してるんだろうと。
お姉ちゃんとあたしが姉妹だって事も、お姉ちゃんと仲良く話してるって事も全部全部隠してる。
家だって、教えてないのに昴先輩はあたしを送った。
毎年これを昴先輩が?
「え、違う…」
不意に漏れた声。
考えてみるとおかしなことになる。
昴先輩は帰国子女なんだ。
数年海外に住んでたって香澄先輩が言ってた。
だったら昴先輩じゃないじゃん、これ。
だって、毎年、毎年、必ず誕生日にはあったもん。
じゃあ、誰なの?
思い出して考えて考えてしてるとなんだか無性に腹立たしくなってきた。
毎年、毎年、隠されてる事に腹立たしくなった。
帰ってきたお姉ちゃんにすら聞けない、このもどかしさ。
お姉ちゃんは何か知ってるはずなのに、それを隠してる根性がムカつく。
でも、それを一番分かってるのは、会いたくもない昴先輩だった。



