「あ、そういえば、莉音。昴先輩に一つ屋根の下で英語教えてもらってたじゃん」
「あー、なんかあったね」
もう忘れてた事なのに、今更掘り出さなくてもいいし。
むしろ思い出したくもない話。
凄い、馬鹿にされたんだから。
「もう、いいよその話は…」
だから思わず小さく呟く。
「なんでよー…でも昴先輩って、帰国子女なんでしょ?」
「うん。お母さんと数年居たらしいよ」
「へー…凄い。ますますカッコいい。ね、莉音?」
「だ、だから、あたしに振らないでよ!」
「振らないでよって言われても、莉音しか振る相手いないんだから仕方ないでしょ?」
「あ、あたしは会話に入れなくていいから」
「もう、変な子だわ」
別に変な子でもいい。
もう昴先輩の話はいいから。
あたしの誕生日に来たのに、全然楽しくない。
むしろ昴先輩の話で終わったって感じ。
最悪な一年を切った事に、深いため息が漏れた。



