「ところで香澄先輩は何で、そんな英語の本を読んでるんですか?」


ふと疑問に思った。

ストローを咥えながら、英語の本に目を通してる香澄先輩が。


「もっと英語力つけようかなーって思って昴に貰ったの」

「昴先輩に?」

「そう。いらないって言うから」

「えー…香澄さん、どうしてまたそんな英語に?」


真理子は不思議そうに香澄先輩に問いかける。


「知ってる?昴の英語力半端ないよ?それこそカッコいいわ。この前さ、昴にたまたま会った時にさ、外国人が道を尋ねたのよ。もうペラペラ過ぎてヤバいの。キュンって感じだわ」

「キャー!!あのイケメン顔でペラペラだと、そりゃあキュンキュンするよね」

「違うわよ。昴の顔にキュンキュンじゃなくて英語力にね」

「えー、そっちですか?」

「当たり前でしょ?あたし昴に興味ないもん」

「やだー、イケメンすぎるのにー…ね、莉音?」

「えぇっ!?」

「やだ、莉音ったら動揺しちゃってる」

「し、してないから!」


もう、いつも真理子はあたしに振るんだから。

お願いだから、辞めてよ。

焦ってる表情を隠そうと、あたしは俯いたまま、グラスに刺さっているストローを咥えた。