「ちょっと莉音!!」

「……」


案の定、次の日学校へ行くと真理子の甲高い声が耳を掠めた。


「あんたねぇ、何で毎回毎回勝手に帰っちゃうのよ!!」

「だって…」

「だってじゃないでしょ?ビックリだよ、ほんとに」

「ごめん」

「で?先輩とどこ行ってたのよ」


さっきとは打って変わって、蔓延の笑みに変わる真理子は嬉しそうにあたしを見つめた。


「先輩?」

「そうよ。昴先輩。サクヤ先輩がさ、一緒に帰ったって言ったから」

「別に送ってもらっただけ」

「ほんとにそれだけ?」

「それだけ」

「へー…でも優しいよね先輩」

「はいっ!?」

「だってさ、家まで送るって訳ありじゃん」

「訳ありって?」

「普通しないっしょ、わざわざ自転車で送るって。莉音を特別だと思ってるからだよ」

「そんな事あるわけないじゃん。やっぱ先輩は嫌い。もう誘わないでよ」


ほんとに嫌い。

だって冷たいんだもん。

お姉ちゃんにはあんな態度とらないのに。

なんであたしだけなの?


「もー、そんな事言わないの。みんなと遊んだら楽しいでしょ?」

「楽しくないから。真理子まで嫌いになっちゃうよ」

「もぅ、莉音ったら…」


つい、そんな事を言ってしまったから真理子はため息を吐いて頬を膨らませる。

そんな真理子から視線を外し、席に着いたあたしは鞄の中から金平糖を取り出した。

そこから適当に何粒か取り出し、口の中に放り込む。

と、次第に潤んでくる目に悔しくなった。