なのに。


「サクヤ先輩!」


真理子は声を掛けた。

ってか、やめてよ真理子。


「おぉ、おはよ」

「おはようございます」

「莉音ちゃんもおはよ。つか久々じゃね?俺達の事避けてるっしょ?」

「えっ、」


そんな事を言うから思わず目が泳いでしまった。

だって正直当たっているから。


「そーなんです聞いて下さいよ、先輩!莉音ね、あたしにまで冷たいんですよ?報われない恋に必死なんです!!」

「ちょっ、何言ってんの、真理子!!」


真理子の腕を叩くと、真理子は面白そうに笑みを作って舌を出した。


「へー…報われない恋ねぇ…俺だったら即効オッケーだけどな。どう?莉音ちゃん…」

「はいっ?」

「優しくするから」

「きゃー!莉音、もうサクヤ先輩にしちゃいなよ!」

「ちょ、意味わかんないから」


ハイテンションで騒ぐ真理子に思わず顔を顰めた。

嫌だし、こんな危険な先輩。

絶対、無理。


「あ、今日さ。前集まったメンバーで遊ぶけど真理子ちゃん達もおいでよ。ほら、ユミちゃんだっけ、その子も来るし」

「わーいいんですか?行きたい!ね、莉音?」

「はいっ!?」


え、嫌だよ。

誘わないでよ。


「タツキも来るんじゃね?真理子ちゃんに聞いてみるとか言ってたからさ」

「あ、じゃあ後でタツキに連絡しますね」

「オッケー!じゃーね、」


ヒラヒラと手を振って遠ざかって行く先輩の後ろ姿にため息を吐き出す。

あたし、無理。