「だってさ、だってさ。莉音、一度泣いたでしょ?その後、金平糖貰ってたじゃん」
「だからあれは…」
「案外、昴先輩は馬鹿な女の子には弱いのかもね」
「はいっ!?真理子、言っていい事と悪いことがあるよ」
頬を膨らませるあたしに真理子は笑いながら“ごめん、ごめん”と謝って来る。
そんなあたしと真理子の会話に香澄先輩までもが声に出して笑ってた。
「あ、それよかさ香恋さんが昴先輩の事が好きって広まってるよ?」
真理子は笑いをスッと止めると今度は真剣な眼差しで聞いて来る。
「だね…」
「だねって…だからさ、香恋さんと対立できないから昴先輩ファンも落ち気味だって」
「どうでもいいよ、そんな事。あれ以来、昴先輩とは話してないし、お姉ちゃんとだって話してないし」
「ふーん…でも莉音にとっちゃ有り難い話しだよね」
「はぁ?意味分かんないよ…」
「だって厄介な女が来ないし有り難いじゃん」
「ほんっといい迷惑!あの合コンの日から不幸続きだわ」
「まーまーそんな事言わないの。ね、香澄さん?」
頬を膨らませるあたしに真理子は宥める様に肩を擦る。
「ほんとそうだわ。あたしがわざわざ集めたんだから感謝してくれないと」
ため息交じりに吐き出す香澄先輩。
感謝って何に感謝していいのかなんて、もう分かんなかった。



