「まぁ、よく女連れてる所は見た事あるけど、それが彼女だかなんだかは分かんない」
「あー…そう言う事か。分かる様な気はするけど…」
「昴はその気じゃないって感じだしね」
「まぁあれだけ端正な顔してると女も寄ってきますよねー…ね、莉音?」
「えっ、だから何であたしに振るの?」
「そう言う顔してたから」
そう言った真理子は面白がってるのかニヤニヤと笑みを漏らす。
「どんな顔よ!」
「気になるくせに」
「気になんないし!むしろ昴先輩は最低なんだから!女泣かせるの得意なんだよ、何回か見た事あるし」
「泣かせてるって言うか、それは女の武器でしょ?」
「武器?」
首を傾げるあたしに、真理子は何度も首を縦に振った。
「涙を見せるとね、男は言う事を聞いてくれそうでしょ?」
「そうなの?」
「いや、分かんない。男にもよるけど」
「へー…」
「ま、でも昴先輩には無意味っぽいけど。ね、香澄さん?」
「そだね。むしろ面倒くさいって感じかな。でも莉音には分かんないけどね。今度泣いてみなよ」
「はいっ!?」
クスクス笑う香澄先輩に乗っかって真理子までもが笑い転げている。
絶対、あたしで楽しんでるに違いない。



