「なにニヤついてんだよ」
「別に二ヤついてなんかないもん。ねぇヒロくん?」
「うん?」
「…ううん、なんでもない」
どうして別れたの?なんて聞けなかった。
そこまで聞いちゃ悪い様な気がして。
だから何も聞けなかった。
「なんだよ、」
「あーうん、ほら。じゃあ何であたしといつも帰ってくれてるのかなーって思って…」
だからもう一つ気になってる事を口にした。
「何でって、莉音と帰る時間が一緒だから」
「あ、そっか。だよね」
やっぱヒロくんはあたしの事など恋愛対象などには入ってないらしい。
もしかして。なんて一瞬でもトキメイてた自分が馬鹿らしい。
「つか真理子とは帰んなくていいのかよ」
「うん。真理子のんびりだからね」
「それ莉音が言うか?どうみても莉音のほうがノンビリだろーが」
「ヒロくん酷いよっ!」
笑っているヒロくんの背中を叩きつける。
なのに未だに笑っているヒロくんは、
「ごめん、ごめん」
申し訳なさそうに口にする。
ここ最近、ヒロ君と帰れることが嬉しくて、あたしの中で毎日が楽しくて楽しくて仕方がなかった。



