恋の訪れ


地に足がつかないって、こー言う事なんだろうか。

進めていた足が動きそうにもない。


ましてや瞬きすら忘れてしまいそうだった。


「おい、莉音」

「……」


ヒロくんに肩を揺すられる所為で余計に身体がふらつく。

なんで?って思うのは当たり前の事で、それ以前にあんなにヒロくんの事が大好きだった女王はきっぱり別れを認めたんだろうか。


いや、まって。

ヒロ君が振られたの?


「おい、莉音ってば!」

「あっ、」


遠のいてた意識が舞い戻る。


「俺、なんか変な事言ったか?」

「う、うん」

「別れたって事が?」

「うん。ねぇ、ヒロくんが振られたの?」

「違うけど」

「そうなんだ」


ちょっとホッとしたのはなんでだろうか。

ヒロくんが女王を振ったって事がなんでか嬉しかった。