恋の訪れ


そして、放課後の帰りも見てしまったんだ。

昴先輩の右隣にはあの女の先輩がいた。


お姉ちゃんも言ったのに、昴先輩が好きって。

まぁ嘘…だけど。

多分。

でも、やっぱあの女は嫌い。


目の前を歩く二人の先輩が、何故だかあたしの視界に入って仕方がなかった。

先輩は…昴先輩は、あの時のあたしが知ってる男の子なの?


ママに、パパに、お姉ちゃんに…

聞けばいい事なのに何故か聞く勇気なんかなかった。


そうだよ。って言われるのが怖かった。

だったら、なんで昴先輩は隠してるの?


目の前の先輩達が立ち止まったのは正門前だった。

また良くない雰囲気で、女が怒ってる感じの声が聞こえる。


どうやら昴先輩は女を怒らすのと泣かすのは得意らしい。

その横を通り過ぎようとした瞬間、一瞬だけ昴先輩と合った目が驚いて慌てて逸らして足を進めた。


別に、見てなんかないから。

別に興味すらないから。

だからご自由に…