「莉音、あんた今日はずーっと元気ないね。またなんかあったわけ?」


昼休みの食堂で、真理子はため息をつきながらあたしの顔を覗き込んできた。


「別に…」

「別にって感じじゃないけど」

「真理子、あたし…人生の中で一番の危機かもしれないの」

「はぁ!?」

「多分きっと入院するかも知れないの」

「えっ、あんたなんの病気なの?」

「わからない。分からないけど、入院したい」

「は?ほんと訳分かんないし。莉音の病気はいつもだから仕方ないでしょ。どーせ弘晃病でしょ?」

「ううん、違う」

「んじゃ、昴先輩か」

「えっ!?」


思わず声を上げてしまったあたしに、真理子はまた深いため息をついた。

そして呆れた様に顔を顰め、


「弘晃じゃなかったら昴先輩しか居ないでしょ」


当たり前みたいに真理子は口を開いた。


「言っとくけど、好きとかじゃないからね!」

「はいはい。でも昴先輩って相変わらずモテるよね」


呟く真理子の視線を追ってみると、昴先輩とサクヤ先輩の周りで笑みを漏らしてる女達が居た。

この前の女じゃないけど、嬉しそうに話してる女の顔をみりゃあ分かる。


きっと、好きなんだ。


昴先輩か、サクヤ先輩の事が…