「だって、昴先輩があたしに英語を教えたのも貸しがあるからってな理由だし、あたしあの先輩に遊ばれてるんですよ」
「へー…、まぁ莉音可愛いからね。遊びたくなる気持ちは分からなくもないけど」
「なんですか、それ!」
「要するにね、莉音は可愛いからみんなほっとけないのよ」
「全然、答えになってないですよ」
「じゃなきゃ、莉音の事助けたりしないよ?嫌味な事言われたんでしょ?真理子が言ってたけど」
「……」
…また、真理子か。
もう思い出したくもないのに。
「まぁ、でも最後にはちゃんと助けてくれるよ、サクヤも昴もね。莉音が思ってる程、悪い奴らじゃないよ」
結局、香澄先輩と会って話した理由が何だったのか分んなくなってた。
何を話に行ったのか、何を聞こうとしてたのかなんて分んなくなってた。
最終的にはサクヤ先輩と昴先輩がいい奴だって事。
…そんな訳、ないでしょ。
その日の夜。
ちょっとは変な予感がしてた。
だから心が前ってもんはちゃんとあった。
でも実際、ママに美咲さんが何をしているのか聞いたら、“英語教師”だって言った。
しかも、お姉ちゃんの大学で…



