「すーばるっ!」
弾けた声に視線が動く。
背後から駆け寄ってきた女の人は昴先輩の肩を軽く叩いて笑みを見せる。
…この人。
前に一度、昴先輩と腕を組んで歩いてた女の先輩。
真理子が言ってた。
この人は昴先輩の事が大好きなんだとか…
「ねぇ、今日空いてる?」
「今日はパス」
「えー、なんでよっ!じゃあ、いつだったらいい?」
その光景を見たあたしは校舎に向かって歩き出す。
その瞬間、女の先輩があたしを睨んでた――…
べったりと昴先輩の腕に絡みつけながら、女の先輩は鋭い目つきであたしを見てた。
昴先輩の表情なんて見てないけど。むしろ見れなかった。
だから、咄嗟に足が速くなってた。
昇降口に辿り着いて、上履きに履き替える。
急いで階段を駆け上がってた時、
「莉音ちゃん?」
不意に聞こえた声に思わず足が止まった。
目の前から降りて来るサクヤ先輩と出くわした。
「あ、サクヤ先輩…」
「なんかあった?」
「いえ…」
「つか大丈夫?体調悪かったんでしょ?俺も真理子ちゃんも心配してたよ」
「あ、はい。もう大丈夫なんで」
って、そんな訳ない。
余計に気分悪い。
「そう、なら良かった」
「すみません、心配かけて」
「ううん」
軽くお辞儀をしてサクヤ先輩の横を通り過ぎる。
ほんと、この人達の出会ってから災難ばかり。
あたしを不幸にするばかりじゃん…



