桜が咲いたら

卒業式はあまりの人だかりに近付くことさえ出来なかった。






唯一先輩への気持ちを打ち明けていた友達に

「ボタンもらいに行こうよ」

と腕を引かれたけれど、あたしは「いい」とだけ呟いて首を振り、

ただ遠目に先輩を見つめていた。






一身に春の陽射しを浴びた、大好きなその笑顔。





それはあたしには眩しくて、

遠すぎて、






届くわけもなかった。




手を伸ばすことさえ、出来なかった。