桜が咲いたら

――――夢はもう、叶わない。






何度地球がひっくり返ったとしてもあたしなんかが受かるはずもない、

この辺りで一番偏差値の高い高校に先輩はあっさりと合格してしまった。





油断していた。






まさか、スポーツ推薦なんていう制度で、手の届かない程遠い世界へ先輩が連れていかれてしまうなんて。






机の上に手を置いて、じっと自分の指先を見つめていたあたしの思考は、

その時一切が外界から遮断されていたように思う。


遠くに行ってしまう先輩のことを、遮断された心でただひたすら考えた。


もともと、近くもなかったけれど。








好きな音楽をかけても、耳に入ってこなかった。

宿題も手につかなかった。






TVを見ても、本を読んでも、


心が1mmも動いてくれなかった。