桜が咲いたら

――――夢。






例えば、

高校に一緒に通う夢。


お昼休みに中庭でお弁当を食べる夢。


手をつないで通学路を辿る夢。






教室に遊びに行ったり、

廊下で擦れ違ったり、

靴箱の前で待ち合わせをしたり。



“先パイ”と呼ぶと、大好きな笑顔であたしに振り向いて――――



そんな小さな、夢のかけらたち。






たくさん心の中で思い描いていた夢は、

叶わないと気付かされてからはっきりとその輪郭を現した。






おかしいよね。


彼女にすら、なれてないくせに。


話をしたことさえ、ないくせに。