家に帰って
風邪をひかないようお風呂に入った。
スエットに着替えてベッドに寝転ぶと
溜息がこぼれた。
仰向けになり
右手を天井に向けて伸ばした。
触れた人差し指が熱い...
原因は分からないけれど
あの人が気になって仕方がない。
話し方...低い声...煙草の匂い...
あれから1時間経つのに覚えている。
伸ばした右手を額の上に乗せる。
昔テレビで言ってた。
人は五感を使う数が多い程
その記憶は残りやすい。
私はあの人に幾つの五感を使ったんだろう...
「聴覚、嗅覚、触覚、視覚」
ぽつりぽつりと呟いていく。
一度に使った訳ではいないが
一つ一つの感覚は鮮明に覚えている。
何で私の名前を呼んだんだろう...?
話していたのは関西弁なのかな...?
とぼんやりと考えていると
瞼が重くなる。
雨の中での出来事が
頭の中でエンドレスにリピートする。
雨音を聴きながら目を閉じた。
目を閉じて
一番始めに出てきたのは貴方だった。
私達は出逢ってしまった...