さよならの見つけ方 第1章

「そっか、

お姉ちゃんの誕生日か!!」





いきなりそう小さく叫んだマイケルが、寝巻姿のまま庭へと飛び出して行く。






何だろう、と思いながらも歯を磨き続けていると、



しばらくして後ろからふわりと、甘い香りがした。










「誕生日おめでとう。

…忘れてて、ごめんなさい」










マイケルが大切に育てている薔薇の花。






ロバートから引き継いだ、マイケルの頬と同じ、ピンク色の花びら。






白く細い指を傷だらけにしながら、5本束にして私にくれた。






茎の大きなトゲは、丁寧にきちんと折られている。










「もらってもいいの?」






「うん、もちろん」






「ありがとう。すごくきれい」






そう笑って受け取ると、マイケルも嬉しそうに、えへへと微笑んでくれる。






後で僕にもロバートからのプレゼント見せてねと、小首を傾げて笑う。






そのキラキラと光る瞳は、あの夜のぞきこんだ小さな籠の中で見つけた、綺麗な蒼色だ。










小さな窓からは、斜めに朝陽が差し込んでくる。










ロバートも私もマイケルも、血の繋がりはないけれど、







ツタの絡まるこの小さな家の中で育んできた絆は、



どんな素敵な家族にも、



きっと負けない。