だけど、やれやれと薄く笑った雪乃は、寝ているあたしを起こしてからスッとあたしの背中に腕を回す。
コツン、と鼻先が雪乃の肩に当たった。
「なんか嫌なことでもあったの?」
「…………」
何も答えないで、雪乃の胸の中で頭を横に振った。
本当はあるよ。
嫌なこと。
でも言えないの。
「……雪乃」
「……ん?」
「…………好き。」
唐突な言葉に、少し驚いた様子の雪乃。
だけど、そっとあたしを離すとそのままゆっくり顔を近づけた。
「もう知らねぇぞ」
少し照れた顔で、そう呟いて。
窓から差し込むオレンジ色。
ベッドの上で、二つの影がゆっくり重なった。


