大嫌いなバレンタイン






「もらわなかったよ、あれ」



「…………え!?」




予想外の言葉に、思わず雪乃の顔を見上げた。






「な、なんで……義理なのに?」


「うん、確かに俺は義理ならもらう主義だね」


「じゃあ、なんで……」







「だって、チョコケーキは



小夏がくれんじゃん」








「……ゆき、の」







嬉しすぎて、胸が熱くなる。



勝手に涙が出てくる。






言わなくても、伝わってた。







「毎年、小夏のチョコケーキ食べるのが。




すっげー幸せ」








そう言ってくしゃくしゃとあたしの頭を撫でた雪乃の手。




涙が止まらなくて、あたしは何も言えなかった。