大嫌いなバレンタイン






雪乃の口から出た意外な言葉に、思わずまぬけな声を漏らした。





「小夏には言ってないけど、俺知ってたよ。お前が俺の誕生日が嫌いで、半年先にいる俺が嫌いで、いつまでも追いつけない自分が嫌いだって」




「……なんで」




「だって、バレンタイン前なると小夏分かりやすくすねるし。俺と出掛けるときは、子供っぽく見られたくないからって、ちょっと大人っぽいオシャレしてくるし」




「……っ!」





「だからさ、むしろ焦るよ。小夏どんどん大人っぽくなって、可愛くなるからさ……」





ちょっとだけ、唇を尖らせる雪乃。




そっとあたしの顔を覗きこんで、少し照れながら呟く。







「俺が卒業しちゃった学校で、小夏がモテてたらどうしようって」






「なっ……!」






バッと顔が赤くなる。