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その日の夕方。
家に帰宅してから、自分の部屋のベッドで雑誌のバレンタイン特集なんかを、ペラペラと見ていると。
「腹見えてんぞ」
ガチャリ、と部屋の扉が開いて勝手に入ってきた侵入者。
「また勝手に入ってくる」
そちらのほうに顔を向けて、少し頬っぺたを膨らましながらそう言うと。
また、目の前の彼も唇を尖らせて変な顔をする。
「いいだろ。昔から小夏だって俺の部屋勝手に入ってたじゃん」
「いいでしょ。別に幼馴染みなんだし」
「てか、幼馴染みの前に今は恋人でしょ。俺ら」
「……知らないもん」
特に内容のない会話をしながら、あたしはまたゴロリと寝返りをうって壁側に顔を向けた。