大嫌いなバレンタイン






少しだけ、緊張していた肩の力が抜ける。



そして、「えっ」と目の前で漏れた声。





「……小夏?」


「…………うん」





目は合わせられないまま、小さく頷いた。




「なんで、こんなとこにいんの?」



案の定、目の前の彼は驚いている。


だけど、うまく答えられない。



声が震える。


足の感覚もなくなってきた。





「っ……お前、冷た!」




様子のおかしいあたしの頬っぺたに、そっと手を伸ばしたら雪乃。



今度は少し焦った様子で、あたしの手を引っ張った。



空いてるもう片手で、あたしの荷物を持つ。






「……とりあえず車行くぞ、寒いだろ」






やっぱり何も言えないまま、あたしは雪乃に引っ張られて車へと向かった。