「あたしは……チョコケーキ、かな」
煮え切らない言葉で、曖昧にそう答えた。
数人集まって話している友達の何人かが、おおっと歓声をあげる。
「超気合い入ってるじゃん!」
「だって、小夏はアレじゃん」
「あ、そっか! 彼氏くんの?」
「そうそう」
話題は、バレンタインから恋バナへ。
バレンタインデー前で浮き足立っている彼女達は、楽しそうに話を続ける。
「すごいよね、何年付き合ってんの?」
「えっ……と、付き合い始めたのは高1かな」
「あー、幼馴染みだもんね。一緒にいるのは?」
「保育所からずっと一緒だったよ、去年までは」
「あー、いいなぁ」
羨ましがる、友達の声。
だけど、やっぱりあたしは曖昧な態度でヘラリと笑うのだ。