だんだん、二人の声が近づいてくる。
どうしようと思いながらも、どうすることもできずにただその場で固まってしまった。
さっきの会話からすると、あの女の人はきっと同じ会社で働いてる人で。
雪乃にチョコ、あげてて。
それがチョコケーキって……。
丸かぶり。
あたし、別にこれ作らなくても良かったんだ。
だって、絶対あっちのほうがおいしいに決まってる。
大人が作ったケーキと子供が作ったケーキなんて、比べるまでもない。
……雪乃に、比べられたくない。
ギュッと膝の上で手を握って、出てきそうになる涙をこらえた。


