大嫌いなバレンタイン






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この小さなバス停に来てから、30分は経っただろうか。




もう、雪乃がいつも仕事を終わる時間は過ぎてるはずなのに、いまだ彼はここを通らない。




サクサク、と雪を踏む足音が聞こえるたびにバレないようにそっと顔を覗かせてみるのだが、いつも違う人。





雪乃、驚くかな。


とか



きっと、仕事がちょっと長引いてるんだななんて考えながら。




いまだ来ない彼を待つ。




雪はまだ止んでない。




そろそろ寒さも限界で。



濡れ雪のせいで、靴も少し冷たくなっている。



入れ違いになったのかな、なんて考えて雪乃に電話もかけてみるけど、繋がるのは留守番電話。








……やっぱり。




バレンタインなんて……大嫌い。






心からそう思った。