大嫌いなバレンタイン






20分ほど歩いて、ようやく雪乃の会社の前にたどり着いた。



雪はまだ止んでないけど、さっきよりは少し弱くなってきた印象だ。




紙袋の端が少し濡れちゃったけど、必死にかばったたけあって中身はなんとか無事そうだし。






ホッと一息吐いてから、近くにあった小さな屋根付きのバス停に避難した。




ついさっきバスが行ったばかりみたいで、待っている人はおらず、ひとつだけある長いベンチに荷物を下ろす。





制服中についた雪を払って、すっかりかじかんで冷たくなった手を暖めようと温かい息を吐いた。





会社とは、別にある駐車場。



雪乃はそこに車を置いてるはずだから、きっと会社から出たらここの前を通るはず。




ここで、待ってればきっと今に雪乃が来る。




そう思って、ベンチの空いてるところに腰を下ろした。