稟はそのまま何も言わずに立ち上がると、ひとり、外へ出て行った。




「あ~ぁ。稟が拗ねたぁー!バカ兄のせいで!」


「なっ…!俺のせいかよ!そもそもそこまでガキじゃねぇじゃん。アイツ!拗ねてねぇよ!」




光に指摘された総也が、持っていたお菓子を床に戻す。




「そもそもなぁ!」


「何よぉー」



その後2人はまた口げんかを開始した。



よくそれだけ言い合って飽きないな…。




「あ。やばいな」



そこで珍しく2人の間に入らないオミ先輩が持参したバックを覗き込んで、そう声をもらした。




「飲み物、間違えてる…」


「飲み物、ですか?」


「棗は基本的に無糖の珈琲とかストレートティーぐらいしか飲まないんだけど。間違って加糖を買ってた。アイツ寝起きはいつも飲み物がないと機嫌悪いからさ。買って来なきゃな」




頭を掻いて苦笑するオミ先輩。


校正会ってこの人がいないとほんと、成り立たないよね…。






「失礼します!あの、保高先輩!」



その時、テントの外から声が聞こえた。