唯一、うるさいと言えばあたしの隣のシートぐらい。
「でねぇ。稟ってば、あの性格でいちごミルク毎朝飲んでるのぉ!ほーんと、笑っちゃうよねぇ♪」
「………」
「総也なんてこの間、焼きそばパンにお汁粉つけて食べてたんだよぉ~!信じられなぁい」
ある程度、予想はつくと思うけど、その主は光だ。
静まり返った車内で、ひとり、大声で喋りまくってる。
それをうるさそうに白い目で見つめてる生徒も多からずいるけど、大半は“光だから”と、納得の様子で黙ってそれを聞き流してる。
「うっせ!納豆と牛乳一緒に飲み食いしてる奴に言われたくねぇ」
「はぁー?美味しいものを一緒に食べて何が悪いのぉ!あの性格でいちごミルク愛飲してる稟の方がおかしいでしょ!」
「気色悪ぃだろ!わかんねぇのか、アホじゃねぇの!稟は昔っからいちごミルクしか飲んだことねぇんだよ!」
あ~ぁ…。また始まった。
今となっては、毎日の習慣で見慣れてしまった光景。
光と霧生兄…、霧生総也のしょうもない口げんか。
