「これ、企画書なんだけどぉ~♪」






会社の社長椅子のような大きな椅子に座るボス、梶先輩のもとに突然、彼女は訪れた。




あたしはお弁当を食べ終わる前に力強く腕を掴まれて強制的に一緒に連れてこられたわけだけど。






「……オミ」



「はいはい」




例の図書室の奥にある秘密の仕事部屋で、すぱすぱと空気汚染をしていた梶先輩は、その企画書とやらを一瞥すると、後ろに立っていたオミ先輩にそれを視線で預ける。




オミ先輩は文句ひとつ言わずに、慣れた素振りで光の持参した企画書を手に取ると、それを黙って確認した。






「オリエンテーション、ね。どうしたの?またいつもの思いつき?」




一頻り書類に目を通したオミ先輩が、いつもの表情で前に立つ光に尋ねる。




「思いつきと言ったらそうだけどぉ…。だってほら。校正会にもこうして新たなメンバーが加わったわけだしぃ……」



「でもこれは今年の1年生に向けるものなんだよね?」



「そ、そう!入学おめでとうの歓迎の気持ちをイベントにしたいなって思ったの!」




どうやら光が全力で駆けだしてまで提出したかった企画は、この間入学してきた1年生を歓迎するための新入生オリエンテーション、というものらしい。