そんな疑問が心にあったけど、何だか後になって面倒臭そうだからあたしは口には出さずにいた。





「それに、最近、棗がサボりがち過ぎて困ってたんだよね。校正会のトップは棗だから、棗がいないとはかどらない仕事や依頼も多くてさ」



「は、はぁ」




すると保高先輩が、興味も微塵になさそうに紅茶を飲んでいる梶棗の隣で困ったように言った。





そんなことをあたしに言われても。



っていうか、それがあたしを校正会に守らせることとどう関係が…?






「だからどうせなら、紗雪ちゃんも校正会に入って欲しいんだ。これから本格的に夏になってイベントごとも増えるし、丁度1人ぐらい人手が欲しいと思ってたんだよね」




「………最終的な目的はそこですか」




っていうか、それ“だから”になってないし。




「ハハハ。いや、もちろん棗のことも嘘じゃないんだ。君さえよければ、棗がちゃんと毎日登校するように、棗の退屈しのぎ相手に……」




「遠慮させていただきます!」




あたしは保高先輩の言わんとしていることが先に読めて、それを言い終る前にはっきりと断った。