だけど今、あたしに男嫌いなおせって言ったくせに。



ほんと、何がしたいのかよくわからない連中だなぁ。





「顔に思ってること書いてる」



「え」




するとそこで、近くのソファに座っていたあの、稟とかいう男子が昨日読んでいた小説を片手に、ぼそりと呟いた。





「稟…。余計なこと言わない」



「………」




それを保高先輩に軽く注意されて、彼は再び本の世界へと戻っていく。





「なおせって言ってもさ。すぐに翌日に改善できるようなものでもないんだよね?」


「え?あ、はい…」



そんな後輩から視線を移し、保高先輩は優しくあたしに言った。




「最初っから男に慣れろ、ってのは無理があるから、少しずつ改善していけばいいって言ってるんだよ、棗は。だから最初は俺たちが君を守るからって」



「ま、守……!?」



「大丈夫。棗に気に入られるなんて、大したものだよ。水瀬さん」




………。



あたしは何も答えることができなかった。