「水瀬はなー、遠く遥々○○県からやって来たんだぞー。ちなみに○○県の名物は――」 わざわざ流さなくてもいい情報を得意げに披露して、あたしの隣に立つ軽口な担任。 新たなクラスメイトの声を潜めた会話が至る所から耳をかすめる。 「ってことだから、お前からも何か一言、挨拶してやってくれ」 「水瀬紗雪です。よろしくお願いします」 そんな面倒臭い担任の言葉に軽く返事して、 にっこりと。 出来るだけ違和感のないように笑顔をつくって頭を下げた。