がやがやとうるさい授業中。
もはや授業なのかもわからないが、少なくともあたしは数学の先生のか細い声を器用に拾っては、素早くノートに書き写していた。
「紗雪ちゃん、紗雪ちゃん!」
「………」
「紗雪ちゃーん!」
そんな中、さっきからひたすらあたしの名前を呼ぶ声がする。
右隣からしつこく連呼されている気がするが、あたしはあくまで気付かないふりを続けた。
関わりたくないから。
「聞こえてるよねぇ…。ちゃんと返事してよー」
「……聞こえてません」
「ほら、聞こえてる」
「………」
あたしはペンを走らせる手を休めて、少しだけ顔をそらして彼を見た。
