わぁ……。 あれほどの人数の生徒が、一瞬で両側に分かれて、彼のためだけに道をあけるなんて…。 こんなの、マンガの世界で何度か見たぐらいで、現実で起こりうるものなのだと身をもって感じた。 「あれはね、紗雪。この学校、律明のボス。梶棗(カジ ナツメ)っていうんだよ」 光が教えてくれた彼の名前が、 ずっと頭の中を離れなかった。