ホームセンターで購入した木の板に文字を彫る。


穴を2つあけて、針金を通さなくちゃいけない。




「カタい…」



文字を彫るまではいいけど、穴が……。



手先が不器用なあたしには至難の作業だった。





「んもぉー、ちょっと光に貸してみてぇ~」



「あ、うん」




それを見かねた光が木の板を自分の元に奪う。



「こういうのはコレを使うの」


「あ、そっか」



専用の工具を手にとって、綺麗に穴をあけてくれた。


こういうところ、光は頼れる。




やっぱり、流石は男の子だなぁ…。


見た目は完全に女の子なんだけど。




「紗雪?なに見てるのぉ?あぁ、もしかして…」



あたしの視線に気がついた光が、にやりと口元を緩める。






「俺の横顔に見とれてた…?」




そして、ふいに男口調の低い声になって、耳元で囁いた。




「ひ、光っ!」


「あははっ♪冗談だよぉ~」



悪戯っぽく、舌を出して笑う仕草はまるで小悪魔。可愛いから怒れないのも計算だろうか。