「稟!早くこっち来いよ!変な部屋がある!」
今頃は、体育館で保護者たちが(生徒も同伴だが過半数が参加しない)担当の教師から、学校 の説明を受けているところだろう。
まぁもちろん、俺たちの両親は来てないけど。
っていうか、大抵、親はあまり参加してないみたいだけど。
だから俺は別に聞いてもよかったけど、総也が「校内探検しよう」とか、まるで小学生みたいなことを言い出すものだからできなかった。
そもそも律明に興味があるのは、総也の方なのに。
「変な部屋…?って、なんだ。ただの図書室じゃん」
「明かりひとつついてねぇし、ここ数年、触られてませんって感じの本棚ばっかだな。ああ、ニオうぞ。俺にはわかる!」
「ニオうって…。本、腐ってんじゃないの」
「ちがーうっ!この図書室は単なる図書室じゃねぇっつってんだよ。絶対何か隠してやがる」
総也の、この根拠のない勝手な妄想はどこからくるんだか。
いつもいきなり「埋蔵金のニオイがする!」とか言ってきて、突然その地面を掘り進めるけど、結局どれだけ掘ってもそれらしきものは一切出てこなかったり…。
無駄に自信家で、そのわりに予想はあたらない総也のことだから、どうせこの時もいつものことだろうなんて甘く見てたけど…。
この時ばかりは、そうはならなかった。
